サドゥ本印刷に立ち会うため、印刷所に行ってきた。
印刷所に行くのははじめて。どんなところか想像がつかなかったが…。
現場に到着して、まず建物の大きさに驚く。近代的な工場、といった感じだ。内部に入ると、ガラス張りの向こうに巨大な印刷機がいくつも並んでいる。これらはすべてドイツ製で、どれも一台数億円だという。
内部も見学させてもらった。長さ10メートルもあるような巨大な印刷機から、正確には分らないが、秒単位10枚ぐらいの勢いで印刷物がどんどん刷り上げられていく。ものすごい迫力とインクの匂いにちょっとうっとりする。
印刷機のとなりには、刷り上ったばかりの印刷物が大量に積み上げられている。多くはまだ世間に出回っていないもの。ということは、ここで働く人たちは、いち早くこうした印刷物を見ることになる。まさに流行の最先端、といったところだが、その一角に、サドゥたちがいるのがシュールな感じだ。
サドゥ本の印刷は一番奥の機械で行われていた。写真中心の印刷ということで、速度を少し落として、慎重に印刷する必要があるのだという。
専属のオペレーターの人がついて、色管理、印刷ずれなど、目視も含めて、さまざまなチェックをしながら進行する。今回は一枚の大きな紙(A0サイズかな…)に16ページ分が印刷されたが、紙一枚分の色見本が出来ると、待合室で待機している我々のところに持ってきてくれ、色を確認してこれにOKのサインをすると、本格的に刷り始める。といっても、印刷は非常に微妙な世界だそうで、数百枚に一枚ぐらいは抜き出しては、厳密なチェックを繰り返す。
印刷会社の営業の人の話では、一口に印刷といっても、やはり印刷機の性能と、それからオペレーターの腕次第で、印刷結果も当然変わってきてしまうという。考えてみれば当たり前のことだが、印刷所に来るまで、あまり気にもしていなかった。
知らないというのはお気楽なものだ。雑誌などの仕事では、簡単な色校はしても、それ以上のことはほとんど考えないから、仕方ないのだが…。
今回は最高品質の印刷機と信頼できるオペレーターに恵まれたわけだが、これで終わりではない。刷られた紙は次に製本会社に送られ、来年はじめに製本されてようやく本になる。
サドゥ本はさらに取り次ぎを経て、本屋に並ぶのだが、それにしても長い旅だ。撮るのは一瞬だが、その前後のことを考えると我ながら気が遠くなる。雑誌の時は撮ってきた写真と指定された量のテキストを提出したら、あとは自分のあずかり知らぬ場所で進行していった部分が多かったが、今回は、編集作業に自分も参加したことなどで、モノが作られていく過程を数多く体験し、見聞きすることになった。
一つのモノというのは、じつに多くの人の手を経て出来上がる、ということを実感できたことも大きな収穫だった。
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上の写真はオリッサ、プリーの夜です。記事とはとくに関係はありませんが…、こんな夜がかなり好きですね。
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今回のサドゥ本バナーは第四章で登場するものです。場所はパチマリ。
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