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青梅線

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東京に引っ越してきて9年近く経ったような気がする。東京といえば、やっぱり新宿の高層ビルを眺めたり、上野、浅草あたりの下町を歩いたり、まあ、渋谷なんかはあんまり行かないだろうけど、などなど考えていたわけだが、9年経った今、想像していた感じとはまるで違った生活をしている。沿線に住んでいるので中央線にはあいかわらず乗っているが、次によく利用する路線が西のはずれを走る青梅線となる。遠くに山を眺めながら電車に乗っていると、まるで東京という気がしない。

多摩川の撮影を始めたのが約3年前。以来、何度この路線を往復したことか。そして最近になってさらに使用頻度が増しつつある。とはいえ、奥多摩の山奥まで出かけることはほとんどなく、むしろ少し遠くに山が眺められるぐらいの距離感が一番しっくりくる。ローカルな話題で恐縮だが、駅でいえば、青梅線の中神、昭島、拝島あたり、そして中央線の立川、日野あたりにどっぷりと浸かりこんでいる。東京の川写真はもとはといえばこの周辺から始まって、その後、さまざまな場所を訪れたが、またもやスタート地点に帰って来てしまったことになる。

同じ場所を繰り返し訪れるのはインドの頃から変わらない。というか、初めての海外旅行がインドで、その後、世界中を巡り歩く予定だったはずが結局15年間、インド周辺からほとんど出られなかった。海外撮影は休止しているが、また海外に行くのだったらやっぱりインド以外にはなかなか思いつかない。

インドは諸事情から今は行けずにいるが、多摩川への旅はいつでも行ける。スケールはずいぶんと小さくなったが、その分だけ密度は濃くなっている。

上の写真は約1年前に撮った福生駅(これも青梅線)の夕暮れ。このあたりの多摩川はあまり撮っていないが、これからは足を伸ばすことになりそうだ。川だけでなく、ほかにも気になるものがたくさんある。写真には写っていないが、駅の向こう側には多摩川が流れ、その先には多摩川に流れ込む支流がいくつもあって、さらに向こうに奥多摩の山々が続いている。この先、どんな旅になることか…。

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夜の多摩川河岸

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前回、熊の小説のことを少し書いたが、あれから10日たった今も、繰り返し同じ小説を読んでいる。まるで時間が止まってしまったようだ。3年続いている川の写真がいよいよ佳境に入ってきたというか、あるいは煮詰まってきたというか、よくいえば、無の境地に入ってきているような気もするが、たぶん錯覚だろう。

川での写真は寡黙な世界なのでいつも書くことに困るが、先日、早朝のまだ真っ暗な時間に不思議なものを見た。巨大な流れ星がすぐ真上を、火を噴きながら、そして音をたてながら走っていった。もしかすると隕石が流れていったのかとも思うがよく分からない。

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満月の森を抜け多摩川へ

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昨年末に出版した「tokyo river」、アマゾンでも何日も在庫がない状態が続いていて、本屋でも見ないしで、いったいどうなっているのだろうと不安に思っていたが、思わぬ場所で見つけた。立川駅エキュート(駅ナカ)の書籍コーナー前面のやたら目立つところで、数点の写真プリントを囲まれ大きく紹介されていた。本自体も10冊近くある。立川の本屋さんでパネル紹介するという話は前に少し聞いていたが、まさかエキュートとは思わなかった。暗い夜道をトコトコ歩いて地味に撮り続けた写真たちにようやく(わずかながらも)光が届いたのかと思ってちょっと感動してしまった。

暗い夜道を歩く小さな旅はまだ続いている。火曜日の朝は、満月に照らされた森を抜けて早朝の多摩川へ出かけた。普段なら真っ暗な闇に閉ざされる森が月の光に照らされてほのかに明るい。こんなわずかな光でさえ、夜を歩くものにとってはどんなに心強いことかと思う。50年前、100年前なら当たり前だったことが今はすっかり忘れ去られている。川を朝に夕に撮り歩く日々のなかで、僕は漠然とそんなことばかり考えていたような気がする。

ところで、最近ずっと読んでいる小説がある。開拓時代の北海道で実際に起こった事件をもとに描かれた「熊嵐」(吉村昭著 新潮社)。二日間に6名の人を殺した巨大で獰猛なヒグマ、一個の野生動物に翻弄される数百名の人々と警察、しかしそんななか、普段の粗暴な性格から近隣の村人から忌み嫌われていた一人の猟師がヒグマと対決するべく雪の原野を進んでいく。

小説「熊嵐」についてはまた別に書く機会を作りたいとは思っているが、とりあえず、この小説から感じるのは自然の圧倒的な闇の世界だ。夜目の利かない人間たちは、闇の中に隠れている人食い熊の幻想にひたすら怯える無力な存在でしかない。

今回の冬は、この「熊嵐」を読みながら多摩川の夜の森を歩いている。別に悪趣味のつもりはなく、ただ、この闇を描いた小説からともかく離れられない。

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新年

Sinnen

あけまして、おめでとうございます。ブログの更新が昨年来、滞りがちになっていますが、今年もよろしくお願いします。

昨年末に出版した写真集は、祝日、週末、そして年末と続いて、まだほとんど流通していないようだ。まだ本屋で一度も見ていない。本屋で手にとって見ないと実感がなかなか湧かない。そろそろだと思うのだが…。

撮影のほうはあいかわらず川通いだ。しかも去年の春からはほとんど近所の多摩川中流、すっかり浮世離れしてしまった。今年は都内の川にも再度通いたいが、いずれにしても川には違いないので、さらに浮世離れが進行してしまいそうなおそれもある。ただ、この3年間はただ撮るだけの日々が続いていたので、今後は写真を見てもらうような努力もしていかないと、と思っている。

上の写真は、霧に包まれた冬の朝の川べり。この季節、太陽が出るか出ないかぐらいの時間帯がもっとも寒く、冷たい川が流れる岸辺近くはマイナス5度近くまで気温が下がることも。

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