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虎が怖い

Tora001

(写真はクリックすると拡大表示します)

8年前だったか、アジャンタ石窟を訪れた。石窟入り口の前にホテルもあったのでそこで宿泊。夜になって部屋を出て、たしか階段の踊り場か何かに差し掛かったとき、目の前の大きな窓が開けっ放しになっていた。なんか嫌な感じだ…。飯から帰ってきても窓は開けっ放し。夜中に気になって見てみたが、やはり開けっ放しだ。普段はどうでもいいことだが、その日はなぜか気になって仕方ない。フロントに言って閉めさせようかと思ったが、その理由というのがあまりにバカバカしい。

「虎が怖い」のである。

アジャンタ石窟は、虎狩りをしていたイギリス士官が逆に虎に襲われ、渓谷に逃げ込んだ際にたまたま見つけたものである。だから周囲には虎はいるはずだが、当時に比べれば数は激減しているし、また、わざわざ観光地にやってくるはずもない。と分かっていてもなぜか怖くて仕方がない。

虎のことをふと書き始めたのは、先日、何かのきっかけから熊のことを検索したからである。熊といっても、ツキノワグマではなく、ヒグマのことである。ツキノワグマも怖いが、ヒグマとはレベルが違う。ヒグマは、たぶん、虎やライオンぐらい強いので、襲われたら絶望的だ(虎のほうが強いという説あり)。

大学時代に少し山を登っていたが、北海道の山だけは完全除外。手ぶらで野生の王国に行く人の気が知れない。実際、日高山脈で3人の登山者が犠牲になるという事件も起こっている。開拓時代には、三日のあいだに7人が殺害されるという事件もあった(三毛別羆事件)

今回、事件の概要をまた読み直してみたが、何度読んでも背筋が寒くなる。他の人が読んでどのように思うのかは知らないが、僕にはなぜか他人事とは思えない。

事件の話のあとにこういうことを書くのは少し躊躇するが、これまでに何度となく、熊や虎に襲われる夢を見た。襲われるといっても、自分の家に熊や虎が侵入して、部屋に入るかどうかで夢から覚める。目覚めても、巨大な獣がすぐ近くにいたという恐怖の感覚がしばらく抜けない。

大人になってからも何度か動物園に行ったが、いつも釘付けになるのはやはり熊や虎である。とくに熊。あの巨体がすぐ近くに迫ったらどうしよう、などと思いつつ目が離せない。

話はインドに戻る。インドでは人食い虎の話が今も絶えないが、ちょっと昔の話では、クマオンの人食い虎が、ネパールとインドでなんと436人の人を殺害したという記録がある。巨大動物図鑑というHPの「人食い」というページには、さらに400人を殺害したヒョウの話などが紹介されていて、いったいどういうことなのか想像も出来ない。ヒョウはそんなに強くないはずだが、デカン高原で雇ったガイドも、「虎よりヒョウが怖い」と言っていた。木の上で待ち伏せし、背後から首を狙って飛び掛ってくるらしい。

さて今回の写真だが、5千年かもしかすると1万年前に描かれた虎。デカン高原の人気のない洞窟に眠っていた。このあたりは虎、ヒョウに加えて熊もいる。どんな熊なのかは聞いていないが、早朝訪れた人が襲われて怪我をしたようなこともあったらしい。「怖いよ~」と思いながらも、どこかでこういう世界に惹きこまれる自分もいて、夢中になって写真を撮った。壁画を撮るのは、単純に記録写真だが、これが全然飽きない。この虎は暗くて狭い洞窟の天井近くに描かれていたので、ものすごく不自然な格好で写真を撮っていたが、撮り終えて外に戻ってくると、夢から覚めたような気分。黄金の原始時代にやられて頭がくらくらする。

一回だけ虎を探しに行ったこともある。行ったといっても、野生動物保護区で車をチャーターしての旅である。まる一日車をチャーターするのは高かったし、動物写真を目指しているわけでもないので迷ったが、どうしても野生の虎が見たかった。しかし見れなかった。他の車から「虎だ、虎だ!」との歓声が起こっているのでドライバーを急かして現場に急行したがすでに虎は森の中。

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