国境の向こう…
インド北部、小チベットと呼ばれるラダック地方の東のはずれにチャンタンと呼ばれる地域がある。
(チャンタン高原というのはチベットカイラスを含む非常に広大な地域であるようです)
ここにツォ・モリリという大きな湖と、もう一つ、名前を忘れてしまったが、少し小さな湖があって、周囲には遊牧民たちが羊を飼って暮らしている。写真は小さなほうの湖とそのほとりを歩く羊たち。
ちなみに、このあたりの標高はなんと4500メートルである。大平原と山々の風景が非常に美しい。
ここから中国との国境までたしか数十キロ、戦略上極めて重要な地域とあって、訪れるには許可証が必要となり、また現地に宿などもないため(6年前当時)、ジープにテントや食料を詰めてドライバーやガイドとともに訪れる。このときはラダックで出会った数人の日本人と現地ガイド2人の小さなグループで3泊4日の旅をした。
チベット遊牧民とはじめて接し、彼らの写真も撮り、今となってはただただ楽しい思い出だけが残るだけだったが、最近のチベット情勢を見ていて、なんとも悲しい気持ちになった。
ここで暮らす遊牧民というのはラダック人ではなく、本来はチベット人であるようだ。広大な土地を自由に渡り歩く途中で、インドと中国との国境が敷かれて、彼らは国籍上はインド人になった。当時、親戚が中国側にいたかどうかといったことは知らないが、いずれにしても、彼らは国境をまたいで、あちら側に行くことはもはや不可能である。
しかし、これは昔の話だ。それに大地はまだまだ広大で、彼らは今も遊牧民として生きていられる。インドも当然いろいろあるわけだが、総じて他者や異文化に対して寛容でもあり、また無関心でもある。遊民にとってはこれほど暮らしやすい国は他にはあまりないだろう。そういう人々が、たとえばサドゥなども含めて、彼らが(ある程度)自由に暮らせるインドが好きで僕はインドを旅してきたし、うちのホームページの趣旨もまた同様である。
遊民と敢て書いてきたが、別に遊民だけの話ではない。今はチベット情勢の話だが、辺境で暮らす一民族、つまりチベット人がこれほどの憂き目を見なければいけない世の中というのはどう考えてもおかしいし、悲惨である。人間の欲望は限りないものだし、世の中は非常に複雑で、また矛盾だらけであるのもある程度は分かるが、たとえそうであっても、自分かわいさで強きにひたすらなびくばかりでは、人間としてあまりにも悲しい。
もともとの趣旨も違うし、また実名でブログを書いていることから、こうした問題についてはこれまでほとんど触れてこなかったが、今回だけは書かずにはいられなかった。チベット人がおかれた今の状況が好転するのを願うばかりだ。
| 固定リンク


コメント
柴田さんがおっしゃりたいことはよくわかります。
私も、チベット問題は柴田さんと同じく状況が好転することを願っています。
>インドも当然いろいろあるわけだが、総じて他者や異文化に対して寛容でもあり、また無関心でもある。遊民にとってはこれほど暮らしやすい国は他にはあまりないだろう。そういう人々が、たとえばサドゥなども含めて、彼らが(ある程度)自由に暮らせるインドが好き.............
私も、むかしからガンジス川源流のサドゥが好きで、家にある市販の映像を何度も繰り返し見てきたのは、そこに「自由な空気」を感じとったからです。
チャンタン高原と湖、素敵ですね。
こういうところにチベット遊牧民が暮らしているんですね。
人々が平和に自由に暮らしている権利を奪うことは、本当に許しがたい事です!この地球上には、不条理なことがいっぱいあります!
投稿 蓮華 | 2008.04.14 00:05
コメントありがとうございます。…と書いたところで、どのようにコメントをお返ししてよいものか、悩んでしまうようなデリケートな問題ですね。この記事を書くかどうかもかなり悩みました。
現地からの情報というのは情報統制のためほとんど入ってこないわけですが、そうであるからこそ、想像をはるかに上回るような人命が危機に直面している可能性が強いこと、また、チベット文化自体が消滅するぐらいの危険をはらんでいることを考えると、何かを書くべきだと強く感じたわけです。
さまざまな影響力を恐れて、本来抗議すべき団体や人間がほとんど抗議しないことへの憤りもありました。
硬いコメントになってしまいましたね。のんびりサドゥの話でも書くのが一番なんですが…。
投稿 柴田 | 2008.04.14 04:54
>どのようにコメントをお返ししてよいものか
これ以上は何もおっしゃっていただかなくても、柴田さんの憤りは充分伝わりました。
願わくば、チャンタンシリーズをあともう少し続けていただいて、このときの写真とお話を披露いただければ、今の柴田さんのお気持ちにさらに近づける気がします。
投稿 あらまんだらー | 2008.04.14 10:42
柴田さんの写真が大好きです。サドゥを含めネパールのものも、インドのものも、何気ない日常の日本のものも、全部好きです。これって強烈な柴田ファンということでしょうか。柴田さんの写真は世界一素晴らしい。世界中の人に柴田さんの写真を見てもらいたい、と思わずにはいられません。チベットの人にも、中国の人にも、アメリカの人にも、ヨーロッパの人にも。
平和でおだやかで思いやりがあって優しい気持ちにさせてくれる写真がいっぱいです。柴田さんの写真は日本人の誇りです。
柴田さんの世界をより多くの人と共有する為に何かわたしに出来ることがあったら言って下さい。5月にネパールに帰る予定です。
投稿 そうなのだ | 2008.04.14 17:00
>あらまんだらーさん
そうですね。チャンタンの写真をまた紹介してみます。
敵味方を峻別したいとはもともと思ってはいませんし、それよりも、地味かも知れませんが、現地を旅してその様子を伝えるのがchaichaiの役割かな、といつも思っています。
>そうなのださん
写真、気に入っていただいてありがとうございます。でもちょっと大袈裟ですよ(笑)。僕も長いあいだ写真を撮ってますから、自分の写真がどういうものかは、だいたい分かっているつもりです。少なくとも、すごくうまい、という写真ではないでしょうね。
自分としては、これからも機会を作って、良い旅をしたいな、と思っています。良い旅には良い写真がついてくるので…。その旅が印象的に写っているような写真を撮りたいですね。
5月にネパールなんですね。ネパールも最近は落ち着いているのかな。ぜひ楽しんできてくださいね。
投稿 柴田 | 2008.04.14 22:29
先程、ネットでデジイチを検索したら、オリンパスE-410が、世界最小・最薄・最軽量の一眼レフカメラ(2007/3/5現在)...ということで、最安値で約6万円なんですけど、どうでしょうか?
現在の手持ちのコンデジも、オリンパスなんです。
本当は、キャノンやニコンのほうが、カメラの王道なのかも知れませんが、よくわからなくて。。。
私も、柴田さんのような幻想的な写真が撮れるように、あちこちでたくさん撮って腕をあげていきたいです。
投稿 蓮華 | 2008.04.14 23:39
オリンパスE-410、いいカメラなんですけど、手ぶれ補正がついてないです。幻想的な写真ということでしたら、暗い写真も撮るので、それがちょっときついかもしれませんね。
このクラスの最新機種に関しては、E-410以外、全部手ぶれ補正が付いてるんですけど(たしか…)、手ぶれ補正機能が優秀なのは、たぶん、ニコンとキャノンです(他のメーカーとは仕組みが少し違います)。さらにこの二つを比べると、とりあえずニコンのほうが一万円以上安いですね。って一応ニコンユーザーなので、結局ニコンになってしまうんですけど。
ちなみにニコンの最新機種名はD60です。
…と、ここまで書いてちょっと調べたら、E-420が新しく発売のようですね。でも手ぶれ補正はついてない。どうなんでしょう。
キャノンのEOS Kiss X2もいいはずですよ。D60より高いですけど、スペックが多少いいはずです。あとはソニーかペンタックスか…。
一般的に言われているのは、たぶん、デジタル一眼レフに関しては、ひどいカメラというのはまずないはずです。なので、一応ニコンと書きましたが、あとは、好きになれそうなカメラかどうかですね。
おおまかにいうと、メーカー名とデザインとシャッター音が鍵ではないかと。
こういうことに関して僕らは「価格.com」の口コミを調べまくったりするのですが、初心者にはちょっと難しいかもしれませんね。
http://kakaku.com/sku/pricemenu/dezi1.htm
とりあえず量産店でいろいろな機種を触ってみてはいかがですか。それでまた、いつでも質問していただいて大丈夫ですよ。
投稿 柴田 | 2008.04.15 03:13
ご説明、ありがとうございます。
ユーザー満足度ランキング1位のニコンのD40が、価格も4万5千円ぐらいでお安くていいですね!
値段的にはお得に感じますが。
これは、素人の私にはどうでしょうか?
でも、買うなら新しいD60の方がいいですか?
キャノンのEOS Kiss X2も少し興味があります。
買うなら、やっぱりニコンかキャノンにします。
オリンパスはデジイチだけにしておきます。
桜は葉桜になってしまいましたが、これからは、ツツジとか菖蒲が美しい季節になりますね。
5月の新緑も撮りたいですし、これからさわやかな季節になりますね。
最近の、私の一番の趣味は写真を撮る事になってしまいました(笑)
カメラを持って、外に出るとわくわくします♪
投稿 蓮華 | 2008.04.16 07:25
私も、キャノンのEOS KISS DIGITAL Xを2ヶ月ほど前に買いました。柴田さんのような写真が撮りたくて。レンズが2個ついていて近所のジョーシンで8万円でした。
去年から考えていたので、安くなっていて嬉しかったです。今は練習中です。
この子(カメラ)に名前をつけました。
しばた君です。
すいません、柴田さん、君づけしちゃって。
投稿 そうなのだ | 2008.04.16 14:32
>蓮華さん
D40、いいカメラですよ。D60とはレンズキットで約三万円の差があって、お得な感じですね。
ご存知かもしれませんが、D40とD60の違いは主に三つです。
D60のほうがゴミ処理がついているのと、レンズキットの標準レンズに手ぶれ補正がついていること。あとは画素数の違いです。
ゴミ処理と手ぶれ補正はついていたほうがまあいいのですが、画素数に関しては、A4プリントぐらいまではほとんど変わりませんね。それにデータ量も小さくて扱いやすいし、専門的な話ですが、(同じ性能の場合)高感度画像が(ほんのわずかですが…)きれいです。
なんてすぐに専門的な話に傾いていきますが(笑)、基本的にはどのカメラでも名作は撮れますよ。あと、コンデジでも、風景だったらかなりきれいに撮れるカメラが少しあります。
ってこれを書くとまた話が長くなりますね。一応機種の名前だけ。
ニコンだったらCOOLPIX P5100、キャノンだったらPowerShot G9あたりとなります。とくにCOOLPIX P5100は非常に軽くて値段も安いです。
といっても写真が趣味だったらやっぱり一眼レフですかね。最初の一台としては、D40あたりがおすすめなのかな。なんといっても安いし。あと、可能だったら、他の方の意見もぜひ聞いてみてくださいね。
>そうなのださん
カメラはほんと安くなりましたね。どのカメラも、3、4年前から考えると、みんな夢のカメラです。あの頃だったら、20万超えてますよ。
ネパールでいい写真撮れそうですね。
カメラの名前ですが、君づけは別にかまいませんが、まあ、…シヴァ君ぐらいが良いような気もしますね…(笑)
投稿 柴田 | 2008.04.16 16:59