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サドゥか、サドゥーか、サードゥーか

Gannga423

(写真はハリドワールのシヴァ像です。ちなみにサドゥ本には登場しません)

前回の記事「サドゥの本を作っています」で、これまで、ホームページ、ブログで「サドゥー」と表記していたのを「サドゥ」に変えた。変えた理由は簡単だ。今、作っている本で、「サドゥ」という表記を使用しようかと検討しているからで、とりあえずそれに合わせてみた。

サドゥには、「サドゥ」と「サドゥー」以外に、「サードゥー」と表記する例がある。いったいどれが正しいのかよく分からない。ちょっと調べてみると、これは言葉自体の問題というより、カタカナ表記に関するルールの複雑さなどに原因があるらしい。

そのあたりのことは煩雑になるのでここでは書かない。「カタカナ 長音」などで検索するとたくさん出てくる。

さて「サドゥ」に関してだが、どうもよく分からない。よく分からない、といえば、インドの地名なんかもよく分からない。たとえばインド最大の聖地ヴァラナシ。「地球の歩き方」の表記を見ると、「ヴァーラーナスィー」となっているが、まじめに発音してもまず通じない。「頭おかしいんじゃない?」と思われて終わりだ。

(注)ちなみに「ヴァラナシ」を「バラナシ」と書く人も多いが、「バ」と「ヴァ」はインドではまったく違うので、なるべく「ヴァ」と発音したほうがよい。

その他の地名、たとえば「カジュラーホー」とか「コナーラク」なんかもよく分からない。chaichaiの「インドの歴史遺産」を作るときにそう表記したが、どうも違うんじゃないかと、今でも思う。たとえば「カジュラーホー」は、少なくとも僕が現地で発音するときは「カジュラホ」である。「コナーラク」も、まあ「コナラク」でもいい。「マナーリー」は「マナリ」になり、「アーグラー」は「アグラ」になる。つまり、伸ばさないでいいところは極力伸ばさない。伸ばさない理由はよく分からないが、実際、早口のインド人とやりあうならそっちのほうがずっといい。

サドゥに関してだが、伸ばさないのが一番というなら「サドゥー」ではなく「サドゥ」がいい。実際、現地での発音もおそらく「サドゥ」に近い。でも、僕は「サドゥー」でもかまわない。どうしてかというと、少なくとも日本人相手に話すときはずっと「サドゥー」と発音していたし、なんとなく愛着がある。だからといって「サドゥ」だとイヤ、というわけでもなく、結局は体裁のいいほうをとればいいと思っているのである。

サドゥの本を作るわりにはずいぶんいいかげんな、と思われるかもしれないが、仕方ない事情もある。じつはサドゥという言葉自体、インドで使うことはあまりない。サドゥの写真を毎日撮っていても、「サドゥ」といわない。じゃあなんていうのかと言うと、「ババ」であり、敬称をつけた「ババジ」である。

「ババ」「ババジ」は発音の感じが素朴でかわいくもあり、サドゥに非常によく似合う。土臭いインドの雰囲気がそのまま言葉になったという印象があり、好ましい。

サドゥに向かって呼びかける場合だが、「ババジ!」と叫ぶ場合もあるが、通の世界になると「マハラジ!」が普通だ。「マハラジ」というのは、「マハラジャ」と同じで、偉い人、という意味。「マハラジ!マハラジ!」と親しみを込めて呼ぶと、サドゥも人の子であるから、それなりに気分がよくなったりするのである。

「サドゥ」を意味する言葉はほかにもある。ヨーガの達人を意味する「ヨギ」、仙人(聖仙)を意味する「リシ」、世捨て人を意味する「サンニャーシン」。ちなみにサドゥは、「正しい人」という意味らしい。

それらの言葉はすべて二千年以上の歴史があるが、それぞれの言葉が指す対象は、じつはかなり違う。たとえば「ヨギ」というならまずヨーガが出来なくては話にならないし、「リシ」といえば、聖仙と言うぐらいだからもっと範囲はせまくなる。サドゥはそのまんまでいいが、「ババ」というのは逆に範囲がぐっと広くなる。たとえば先住民のシャーマンを「ババ」と読んでいるのを聞いたこともあるし、その他、さまざまな使い方がある。思いっきり範囲を広げて考えるなら、ヒゲを生やしてちょっと変わったオヤジはみんな「ババ」である。

「サンニャーシン」については非常にややこしいので省略しておこう。

サドゥ、サドゥといってもじつはいろいろある、ということが分かっていただけただろうか。ちなみに、僕がわざわざ撮るサドゥというのは、パワーあふれる「小さなシヴァたち」、つまり「ヨギ」「リシ」の系統で、普通の世捨て人は、少なくとも本のなかでは除外している。

いろいろ書いてみたが、まだまだ足りない。というより、インドははっきり言って伏魔殿のような世界で、分かっていることは氷山の一角といってよいだろう。そういう世界で、「サドゥ」か「サドゥー」かを論じていても仕方ない。好きなほうを使えばいんじゃないの、というのが僕の考え方である。

長文になってしまったが、サドゥ本ではこういうややこしいことは省略している。写真中心なので紙面に余裕がないのも大きな要因だが、なんといっても写真が主役だから、ビジュアルからサドゥの魅力を発見してほしい、という思いをこめている。

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コメント

サドゥの写真集良いですね。前例のない自分の作品が流通されるのってワクワクしますよね。
いつかは自分も・・・と刺激されましたよ。

さて、次回旅はカッチ湿原帯に暮らす少数民族の村の訪問も検討しているのですが、
この辺り情報があまり探しても見つかりません。
(ロンリープラネット辺りに情報があるのかもしれませんが、住んでいる田舎には売ってないので立ち読みも出来なくて・・・)
そこでカッチを訪問なさった柴田さんにお尋ねしたい点があります。
ブジ、ポシナ、ササダ辺りを中心として、その周辺の村を訪問しようと思っているのですが、
どの村でも許可証はまだ必要でしょうか(ブジ辺りは不要になったそうですが・・・)。
許可証は地元の警察で取るんでしょうが、どれほどの費用がかかりましたか。
そして周辺の村にはクルマをチャーターして行くようですが、
一日700Rs以上と結構な値段するので、他の方法ってないでしょうか(カッチだけでも数週間あちこちで滞在したいので)。
たとえば、地元の大きな町でガイド雇って、バス(あるのかな)やリクシャーで行くってのは大変ですかね?

そういえば、Ahmadabadも呼び方が統一されてないですよね。
アフマダーバード、アーメダバード、アーメダバッドなどなど。
僕もデザイナーとしてのキャリアは編集プロダクションのエディトリアルからだったので、
この辺の用語統一の問題に悩まされたのを思い出しました。

投稿: こいで | 2007.10.30 13:48

さらに調べてみたら許可証は金銭がかからないようでした。20〜30分で発行してもらえるようですね。よかった。

投稿: こいで | 2007.10.30 14:32

写真集ですかー!

かつては写真を第一に目指していたので、実はまだ写真集出版の夢を捨て切れずにいます。(笑)

ともかく、「サドゥ」楽しみにしています。
石垣島のブログで宣伝してもいいですか?
http://tarogama.ti-da.net

投稿: TARO | 2007.10.30 18:33

>こいでさん

サドゥ本らしきものがこれまでなかった、というのは大きかったです。あれば、やらなかったかもしれませんね。

カッチのことですが、ロンリープラネットが今、手元にないのですが、カッチの村めぐりに関してはボカして書いていたような記憶があります。観光客数抑止のためだと思います。

僕がカッチに行ったのはもう10年以上昔です。旅行者は少なかったとはいえ、そのほとんどが村巡りをする状況では、すでに多いかな、という印象を受けました。とくにカメラマンは多いと聞いていました。

じつは今日、今年カッチに行ってきたという人と話しました。写真が趣味の人なんですが、chaichaiのギャラリーにあるメグワル族の村はかなりきつい状況とのことです。日本からの団体客まで来ているくらいなので(ブジの北、パーミットが必要な場所です)。

ブジの周辺だとまだ撮れるようですが、やはりメグワルが一番華やかなので、こいでさんが行くと、欲求不満になる可能性が強いかな、との印象を受けました。

ラバリー族などもおおむね定住の方向に向かっているようです。

ちなみにブジ周辺だとオートリクシャーが可能だそうです。一方、メグワル族だとツーリストタクシーが一般的だと思います。僕はアポイントなしで村に泊まらせてもらいましたが、あれから10年たって、今はどうかな、と思います。

(補足)メグワラ族の村々へはバスでも行けます。が、夕方ブジを出発して夜に最後の村到着、翌早朝、ブジに向けて出発らしいです。なんと10年前と同じです。しかも欠便がたまにあります。あとはツアーバスやツーリストタクシーに便乗させてもらうなど、の方法がありますが。

カッチ自体はたいした観光地ではないのですが、部族民で有名になった場所だけあって、撮影は大変かもしれませんね。

僕は今、砂漠の部族民を撮影する計画はないのですが、もし自分だったら、と考えた場合、ラジャスターンを選ぶかな、と思います。ラジャスターンといってもまだまだ旅行者に知られていない場所もありますし、その割りに、ツーリスト業をやりたい、と思っている人が結構います。また、性格的にも非常に開放的(積極的?)で、ガイド探しも比較的容易かと(といってもネパールのような従順なガイドはまずいないので、それなりの格闘が必要ですが…)。

先日のラジャスターン旅行はガイドブック取材で時間もなかったのですが、一緒に村に行こう、と三度、四度、誘いを受けました。値段はいろいろで、高いものもありましたが、どれもかなり魅力的なものです。外国人はまず入らない場所ばかりで、伝統的な暮らしと衣装があるそうです。

個人的なつきあいから(といっても話して20分程度ですが…笑)発展した話もありますが、単に、カメラマンの客を探している、ということもありました。たとえば彼の場合は、日帰りバイク二人乗りでの先住民の村ツアーで、言い値で一日1500ルピーです。場所が遠いので、とくに高いとは思いません。フランスあたりのカメラマンと仕事をした経験があるようです。もし僕が行くなら、最初は日帰り、次は一泊二日、二泊三日などとするでしょう。まず宿泊場所を確保して、ということですね。

これは一例で、探せばいくらでも見つかりそうです。

ここではちょっと書きづらいですので、もし興味があるようでしたら、どんな話だったか、ということをメールでお知らせします。個人的に、こいでさんの活動に興味を持っていますし、自分で出来ないことならどなたかにやってほしいな、と思っています。

またいろいろ検討してみて、何かありましたらいつでもメールいただいて大丈夫です。


投稿: 柴田 | 2007.10.31 03:30

>TAROさん

いや~すべてババジたちのお陰です(笑)
シヴァに感謝です。

あのときの、柵の上からの写真も登場します。

ブログ、ときどき拝見しています。
釜ヶ崎、にっぽん80'など、なんともいえない不思議な気分になります。インドとあわせて、紙で見てみたいです。

宣伝していただけたらうれしいです。よろしくお願いします。

投稿: 柴田 | 2007.10.31 03:48

こんにちは、スタイリストの依田と言うものです。
今、テーマがサドゥで、スタイリングをしようと思っております。
しかしながら、どうもサドゥの衣装の特徴がつかめずにいます。(裸の人もいるし…)

できれば、特徴などを簡潔にお願いします。

投稿: 依田 | 2008.11.25 04:03

サドゥの衣装は百人百様かと思われますので、簡潔に、というのは難しいですね。
個性の強いサドゥは格好も決まっているので、それぞれの好みなのでしょう。
人を畏怖させるような威厳とあやしさは、共通しています。一部の宗派(黒魔術系)は黒装束です。
サフラン色は一般的ですが、これはサドゥに限ったことではありません。

投稿: 柴田 | 2008.11.25 22:17

コメントありがとうございます。

なるほど。
威厳とあやしさですね!
アドバイスありがとうございます。 スタイリングがやりやすくなりました!!

ちなみにメイクも人それぞれなのですか?

投稿: 依田 | 2008.11.26 01:02

これも人それぞれで気分次第だったりもしますが、基本的には灰を額かあるいは顔全体に「無造作」に塗ります(シヴァ派)。

額にポイントとして赤をさす人もいます。

赤は飾りではなく、本来は生贄の血だったと思われます。

サドゥ、とくに、これはと思われるサドゥについて言えることは、その行動、姿には必然性があるということでしょうか。よくあるスピリチュアルの必然性ではなく、長年、サドゥとして森羅万象とともに生きてきた迫力です。言葉ではうまく表現できませんが、すべてが理にかなっている、と感じます。

威厳とあやしさ、といっても、彼らはいきがって、そんなものを醸しだしているわけではない、ということです。

サドゥの写真を撮って感じたのはそういうことでした。そこのところをご理解いただければと思います。

投稿: 柴田 | 2008.11.26 02:21

コメントありがとうございます。

よくわかりました。内面から自然と出るものですね。ありがとうございます。
一歩前進しました。

まだまだ知識も浅いし、そういうことであればなかなかサドゥに近づいたスタイリングができそうもありませんね。

しかし、アドバイスをして頂いたおかげで、光が見えてきました!(笑)

本当にありがとうございます。


投稿: 依田 | 2008.11.26 03:07

すいません。質問があるんですが今、インドの女性にサドゥをイメージした、どっちかというとキレイ系ではない、スタイリングを考えているのですが、頭にターバンまいたり、男装するのは、失礼にあたりますか?

投稿: 依田 | 2008.11.28 16:37

細かいことを気にしすぎてしまうと、本物のサドゥを連れてくる以外に方法がない、ということになってしまいます(笑)。
スタイリングという世界がどういうものか、全然分かりませんが、依田さんの着想を全部ぶつけてみてはいかがでしょうか。

> インドの女性に…

唯我独尊、という感じでおもしろそうですね。

投稿: 柴田 | 2008.11.29 02:01

わかりました。

ありがとうございます!!!

投稿: 依田 | 2008.11.29 04:05

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