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魅惑の丘

orcha04aaorcha03aa前回に続いてオルチャの話題を一つ。前回紹介した建物はじつは宮殿ではなく寺院だそうだ。この寺院から裏手の丘陵を上り下りしながら20分も歩くとチャトリ(墓園)建築群に到着するのだが、そこにいたる道がとても印象的で、ここがインドであることを忘れてしまう。例えるなら、まるでスコットランドかアイルランドの寂しい丘を歩いているような不思議な気分、雨のあとの、ちょっと肌寒い風もとても気持ちいい。人影はあまりなく、ときどき牛や水牛が道を横切っていく。まるで童話の世界に迷い込んだようだ。
丘の上から眺める建物のたたずまいもじつに良い。空の様子に応じて次々と印象を変えていくのは別に当たり前のことではなく、建物自体の神秘的な魅力がなければ印象的なものにはならない。その点、オルチャの建物はどれをとってみても、駄作というものはまったくないし、建物の配置の、バランスの良さが際立っている。まったく伝えられていないようだが、これを作った建築家はすごいセンスの持ち主だったんだろうな。
オルチャを見て思い出したのが、スペインのセゴビアという町。谷をはさんだ丘から眺めると、ディズニーランドのモデルになったという城から、宮殿、そして教会にいたる眺めがとても美しい。この丘の眺めに魅了され、夜に真っ暗な丘を登った記憶があるが、オルチャの美しさはセゴビアの上をいくかもしれない。まあ、どちらが良いかはともかく、二つの遠く離れた街には、どこか同じような美意識が流れていて、それが不思議な気がする。もしかすると、オルチャはインドでもっとも西洋的な美しさを持った街なのかもしれないが、オルチャは純粋なヒンドゥーの街でもあり、建設当時は西洋人の影もないようだから、そのあたりのことは謎である。
ちなみに左の写真、手前の三つの建物が寺院(そのうち一番奥が前回の建物)、後方に見える大建築群が宮殿で、おもに二つの建物からなっている。写真には見えないが、この地点から右遠方にはチャトリ(墓園)の建築群、背後にも、やはり巨大な寺院が一つそびえている。ここは何度歩いても素晴らしい。

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コメント

すごいですね。インドってほんとにいろんな顔があるんですね。
この写真の建物群、いいものですね~。
いつか実際に、この道を歩いてみたいです。
柴田さんのブログには、いろんなインドがあって楽しいです。これからも楽しみにしています。ありがとうございます。

投稿: いつめ | 2005.08.18 02:08

オルチャの丘は本当にいいですよ。夢のような風景です。インドはすごいな、ってあらためて感じました。
ただ、きれいな丘は、じつは大量の尺取虫に覆いつくされているんです(笑)雨季で大発生しているみたいで…。ゲストハウスの部屋の中も、バッタとコオロギが好き勝手に飛び回っていたり、巨大なヤモリがうろうろしていたりと…。
すべてが快適に、とはいかないところがさすがはインド、という感じです。

投稿: 柴田 | 2005.08.18 10:48

やっぱり、、さすがインドは一筋縄じゃないですね(笑)だから余計魅力的なんでしょうか・・?虫はすごく苦手なので、かなり我慢しなければなりませんね。ヤモリとかは部屋にいてもかわいいなあと思えるんですけど。しかし毎日頭の中はインドのことばかり考えてしまいます。いったいこの引力?は、何なんでしょうか・・夢のような風景。素敵だなあ。

投稿: いつめ | 2005.08.18 23:01

一筋縄ではいかないインドですが、だから魅了されるんでしょうね。オルチャも、違う国にあったら有名な観光地になっているかも…。
虫はそんなに心配しなくても大丈夫です。泊まる宿を間違えてしまっただけで、きれいなホテルもあると思います。といっても、虫だけの問題ではないですね(笑)思いもかけないことが簡単に起こる国ですから…。

投稿: 柴田 | 2005.08.19 01:19

オルチャって不思議な感じのところですね~。このウシもなんだかバンビみたい。ひきしまっててカワイイけど、現実じゃない、童話のウシみたいですね。

人の美意識や、「恐れ」の意識が、時代や地域を越えてどこかでつながっているような事実はほんとうに不思議ですね。

唐突ですが、人が生まれるまでの10ヶ月のプロセスが、生物の進化の過程をなぞり、
まるで メビウスの帯でミニマムとマックスがいれかわるような関わり方で へその緒と宇宙がつながっているように、
時代も地域も超えて、なにか見えない帯でいろんな意識のつながりがあるように思えます。
オルチャという場所がそれを象徴しているみたい。

…なんだかごちゃーっと書いてしまいましたが、旅から帰って真っ先に柴田さんにあのブログを開きました!
心をつかまれるようなインドの風景に出会えて、久々にほっとしました♪

投稿: nory | 2005.08.19 06:18

本当に唐突でしたが(笑)、音楽が鳴りはじめたような印象で、noryさんは詩人ですね~。

オルチャは川沿いの村ですが、川の向こうはジャングルなんですね。今も辺境ですが、昔も辺境だったのでしょうね。だから、これを作った人はどこかで権力とか社会に背を向けて、逆に自然とつながろうとしたような気がします。そういう心の純粋さとか屈折とか、それに悲しみとかが、オルチャの美しさにこめられているような気がして、不思議な気分でした…。毎日雨に降られていたのも良かったんでしょうね。透明な空気感が印象的でした。

noryさんもアメリカの空気をおなかいっぱいに吸って、いい時間を過ごしてくださいね。

投稿: 柴田 | 2005.08.19 13:13

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